リワークの目的
リワークとは、うつ状態などによって休職している方を対象とした、復職までのステップとして利用していただく場所です。 こころの病気の回復基準には、いくつかの捉え方があります。まずは「仕事のない日常生活を規則正しく支障なく送ることで、趣味など本来楽しめていたことを楽しむ」ことのできる、日常生活レベルの回復があります。 これも立派な「回復」ですが、日常生活ができる「だけ」の状態で職場復帰をしてしまうと、そのギャップから過度の疲労を感じ、その結果再度休職に至るケースも少なくありません。 リワークは、ここから更に上の段階の「就労可能レベルの回復」を目指し、徐々に活動量を増やすことで就労に必要な体力や集中力を回復するための「リハビリトレーニング」と考えてください。 生活のリズムを整えたり、再発予防のための活動に取り組むことによって、休職中の生活と実際の就業とのギャップを埋め、円滑に復職していくことを目指します。
対象となる人
- うつ、ストレス障害、適応障害、発達障害、その他ほとんどの方が対象となります。
- 他院通院中でリワークを利用したい方(紹介状が必要です。)
- 診察にてリワーク利用が適当と判断された方
- 安定して服薬できている方
リワークの利用を希望検討されている方は、ご見学・体験も可能です。 ご希望の方はお電話にてお問い合わせください。
当院でのリワークプログラムについて
当院では、休職中の患者様に対する支援としてリワークプログラムを実施しています
- リワークは、現在休職中の方が“復職”や“社会復帰”のための準備をする場所です。 複数のプログラムを通じて、自分自身を見つめなおし、うつ状態の改善や再発予防を行っていきます。最終的な目標は、復職して業務制限や健康管理がなく、職場で期待される業務を再発なく継続することです。
- うつ病の回復過程には4つの時期があると言われていますが、すべての時期でリワークが有効というわけではありません。いくつかの時期では、リワークで復職や社会復帰の準備をすることよりも、薬物療法を中心とした治療が優先されます。
- うつ病の回復と復職について うつ病の回復プロセスは、“療養期(回復初期・生活安定期)”と“行動活性化期(寛解安定期・復職準備期)の2つに分けることができます。 療養期と行動活性化期では、正しい過ごし方が真逆になります。療養期は、「休む・負荷がかからないようにする」ことが求められ、行動活性化期は「積極的に活動する・あえて負荷をかけてトレーニングする」ことが求められます。 当院のリワークプログラムでは、“行動活性化期”の患者様を対象に復職支援を行っております。以下では、それぞれの時期の目標について説明します。
1. 療養期
回復初期と生活安定期から構成されます。服薬と休養を主とする療養期では、仕事のない日常生活を、規則正しく・支障なく送ることが目標となります。症状が落ち着いた状態で生活ができるようになることを目指しましょう(=日常生活レベルの回復 )。
1-1 回復初期
基本的には、「休む・心身に負荷がかからないようにする」時期です。特に、仕事や職場に関することやストレスの原因となる刺激をできる限り遠ざけ、心身が休まる環境を整えることが大切です。
1-2 生活安定期
生活リズムを整えることや、基礎体力の回復を目指す時期です。症状がほぼなくなり、仕事に行かなければ支障なく日常を送ることができる状態になることが目標となります。日常生活レベルを回復することが大切です。
2. 行動活性化期 → リワークの時期
寛解安定期と復職準備期で構成されます。療養期を終えた段階(日常生活レベルでの回復しかしていない段階)で復職してしまうと、“うつ病”の再発リスクが著しく高まることが明らかとなっています。 その原因としては、療養期の生活の負荷(ストレス)と働くことの負荷(ストレス)の差が大きいことが挙げられます。したがって、再発を防ぐためにはこの差を可能な範囲で埋めた状態で復職することが望まれます。 そこで、行動活性化期には“生活レベルの回復から、定められている就業条件に従って仕事をすることができるレベルになること”が目標となります( = 就労可能レベルの回復 )。 当院では、行動活性化期の患者様を対象にリワークプログラムを実施しております。
2-1寛解安定期
日常の生活リズムが安定し、趣味などの活動を安定して十分に楽しめるようになることを目指す時期です。日常生活における活動量や睡眠時間を安定させることが大切です。加えて、うつ病や休職に至った原因を見つめなおし、再発の予防を行っていきます。
2-2復職準備期
職場復帰の手続きを行い、実際に職場復帰の具体的な計画を立て、復職を目指す時期です。復職が近づくことで一時的に症状が出てくることもあります。職場とのやりとりや、出勤訓練として実際に職場に行くことも必要になります。
3. 復職まで、復職後のサポートについて
リワークを通じて状態を改善・安定させ、再発予防を身につけて復職します。 また、復職後にも、必要に応じて状態の確認や振り返りのためにフォローアップの 支援を行います。
休職開始から復職へのプロセス(期間については個人や病状によって差異があります。)
週間プログラム(例)
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
9:30~ 10:10 | ウォーミング アップ |
閉所日
|
ウォーミング アップ | ウォーミング アップ | ウォーミング アップ |
10:10~ 10:40 | 自習 / 休憩 | 自習 / 休憩 | 自習 / 休憩 | 自習 / 休憩 | |
10:40~ 12:00 | 人間関係作り トレーニング | アサーション / テーマトーク | マインドフルネス/ もくもくタイム | 認知再構成 | |
12:00~ 13:20 | 昼休憩 | 昼休憩 | 昼休憩 | 昼休憩 | |
13:20~ 14:40 | 行動活性化 / 怒りのコントロール | 復職ステップアップ トレーニング | 運動/表現療法/ リラクセーション | わくわくワーク | |
14:40~ 15:10 | 各自振り返り | 各自振り返り | 各自振り返り | 各自振り返り | |
15:10~ 15:30 | 一日の感想 | 一日の感想 | 一日の感想 | 一日の感想 | |
※当リワークは火曜日閉所となります。そのことによる弊害を最小限に するために自己課題を設定するなど対応を行っております。 |
プログラムの説明
利用の流れ(ご本人様)
まずは診察の際、復職のご希望があることを主治医までお申し出ください。 みずほクリニック以外の精神科・心療内科に通院されている方は一度お問合せの上、紹介状をご持参ください。 診察や面談などを通じ、状況の把握や職場復帰に向けての課題の整理を行います。
なお、リワークに参加いただくための要件として、以下の6つがあります。- 日常生活レベルまで回復しており、症状が安定していること
- 服薬等の自己管理ができていること
- 日中のプログラムに参加するための生活リズムが整っていること
- グループ活動に参加し、自分の体験や意見を話すことに負担がないこと
- ご本人に復職する意思があり、職場復帰に向け、リワークの利用希望があること
- 主治医の許可があること
利用の流れ(勤務先・会社の方へ)
昨今、メンタルヘルス不調による休職・退職者が増加傾向にあることが、社会問題のひとつとなっています。同時に、メンタルヘルス対策の重要性にも注目が集まっています。 うつ病などのメンタルヘルスの不調によって発生する社会的なコストは、年間2~3兆円にのぼるとも言われており、従業員を擁する企業にとって、また社会にとっても、その損失は非常に大きなものとなっています。
従来、多くのリワークでは、「日常生活レベルの回復」で復職が可能と判断されていました。しかしその場合、実際に職場に復帰したあとストレスに耐え切れず再休職をしてしまう、というケースが多く発生してしまっていました。 しかし、医療機関が主体となってリワークを実施することで、休職者ご本人の病状を詳しく知っている担当医がフォローアップすることができます。本人も気づいていない心理的課題や、病状の変化に対してもこまめに介入することで、柔軟かつ適切な支援を提供することが可能になります。
このように、「日常生活レベルの回復」ではなく、「就労可能なレベルへの回復」を目指し、再休職や離職を未然に防ぐことを目的として、リワークを実施しております。 また当院では、復職されたあとも再休職を予防するための継続した通院治療、フォローアップの体制も整備しております。利用の流れ(医療機関の方へ)
メンタルヘルス不調が原因で休職される方の増加に伴い、復職支援の重要性が注目されています。 みずほクリニックは2016年から職場復帰をサポートするリワークデイケアを開設し、名古屋の地域で働く人のメンタルヘルスをサポートすることに注力しております。
当院では精神科の医療機関が主体となってリワークのプログラムを実施することにより、精神科的治療とリワークのプログラムを並行して実施することで、再休職や離職を未然に防ぐことを目的としています。 こうした強みを活かし、復職の支援において悩みを抱えていらっしゃる地域の医療機関やその他の支援施設のお手伝いをさせていただければと考えております。復職を目指すにあたって気を付けたいこと
自分の症状や今いる段階に合わせて、できることを少しずつこなしていきましょう
焦りは禁物ですが、慎重になりすぎても状態が長引いたり、復職しづらくなることにつながります。医師やご家族、職場の方などと相談しながら、一歩一歩進んでいきましょう。
制度としての休職可能期間を確認しておきましょう
有給休暇や病気休暇の制度、休職の制度については、各職場の就業規則に定められています。勤続年数や過去の休職履歴などによって、期間が異なる場合があるので、休職開始前や休職中に自分の休職可能期間を確認しておきましょう。 また、休職を継続する際に必要な手続き(診断書の提出など)についても、会社で定められている方法を把握して、漏れがないよう手続きをとりましょう。
休職中の生活を支える制度を活用しましょう
休職中の給与制度についても確認しておくことをおすすめします。会社から支給される給与がある場合や、傷病手当金を受給できる場合などがあります。 傷病手当金は、病気休業中の被保険者とその家族の生活を保障する制度で、1年6ヶ月を限度に全国健康保険組合(協会けんぽ)から給与の一部が支払われるものです。
現実的に休職が可能な期間を確認し、それに合わせたスケジュールを立てましょう
症状や体調には波があり、特に復職後しばらくは不安定な状態が続くことがあります。制度上の休職可能期間を期限として復職の計画を立ててしまうと、そのような変化に対応できず、「もう1日も休むことはできない」という余裕のない働き方をせざるを得なくなります。 特に、うつ病などの精神疾患は再発の危険性も高いため、期限にある程度余裕をもって復職までのスケジュールを立て、期限を残して復職することが望ましいとされています。 また、傷病手当金等の制度にも期限が定められているため、同様に余裕をもって期限を残しておけるとよいでしょう。
費用
- 自立支援医療制度(1割負担)利用で1日約710円、保険証(3割負担)利用で1日約2,140円です。
- その他治療上必要な心理検査を行った場合、別途料金がかかります。 自立支援医療費負担制度の利用ご希望の方は、診察時に医師にご相談ください。
リワークの利用を希望検討されている方は、ご見学・体験も可能です。 ご希望の方はお電話にてお問い合わせください。