PTSDとは
PTSDとは、Posttraumatic stress disorderの略で、心的外傷後ストレス障害のことです。例えば、大震災や交通事故、暴力事件や犯罪被害など、思いもよらない恐ろしい出来事に遭遇し、強烈なストレスにさらされることで、それがトラウマとなり、様々な心理的・身体的症状を引き起こす病気です。
PTSDの特徴は、普段はその出来事を忘れていても、突然その出来事を鮮明に思い出してしまうことがあったり、その出来事がまだ繰り返されているかのよう感じてしまい、恐怖心でいっぱいになる、いつも神経が張りつめていて、不安と緊張が無くならなかったり、眠れなくなり、その出来事に関する悪夢を繰り返しみてしまいます。また、頭痛、過呼吸、動悸などの身体の症状もみられます。
このように、個人の力ではどうにもならないような圧倒されるほどの衝撃的な出来事を経験した場合、それが大きな心の傷(トラウマ)となり、その後様々な精神的、身体的問題を残すことがあるのです。
PTSDの症状
PTSDの症状は、1ヶ月以上続くのが特徴です。こうした症状は、多くは恐ろしい体験をしてから半年以内に現れます。まれに、数年たってから症状が出ることもあります。具体的な症状は、以下のとおりです。
1.追体験(フラッシュバック)
トラウマの原因となった恐ろしい体験が、ある日突然思い出され、そのときに感じた身体的苦痛や感情を思い出してしまうといった症状です。また、その出来事が繰り返し夢に出てくることがあります。この恐怖体験のフラッシュバックによって、動悸がする、呼吸が困難になる、吐き気がする、体が強張る、冷や汗をかくなどの身体症状が出ることがあります。
2.回避および麻痺
トラウマとなった出来事を思い出す状況を避けようとすることです。恐ろしい体験を思い出すような思考、感情、会話、状況や人物を、意識的あるいは無意識的に避けるようになります。そのため、生活をする上での行動が制限され、日常生活に大きな支障がでることも少なくありません。
また、辛い記憶で苦しむことを避けるために、辛いことを考えたり、感じないようにするあまり、感情や感覚が麻痺するという症状が出ることがあります。そのため、家族や周囲の人に対する愛情や優しさを感じることができなくなったり、周囲の人に心を閉ざしてしまうことがあります。
3.過覚醒
過覚醒とは、再び危険な状況に陥ってもすぐに対応できるように常に身構えている状態です。例えば、びくびく、そわそわ、些細なことにも驚きやすくなったり、集中力がなくなったり、イライラしたり、不眠症になったりすることがあります。
4.その他の症状
PTSDは、その他にも筋肉痛、下痢、不整脈、頭痛、パニックや恐怖心、抑うつ気分、過剰な飲酒、薬物の使用など、様々な症状を引き起こすことがあります。
PTSDかもと思ったらご相談下さい
PTSDにおいては、恐ろしい体験をした後に受けるサポートが非常に重要です。被害の相談をした相手に心ない対応をされるなど、二次的な心の傷を受けると、PTSDの回復が難しくなります。
外傷体験のなかには、自然災害のように誰もが理解しやすいものもありますが、性的暴行や家庭内暴力、虐待など、被害に遭ったこと自体を人に相談しにくいということも多いです。なかには、自分に落ち度があると思い込み、自分を責めてしまうケースもあります。
こうした場合、誰かに相談をしたり、医療機関を受診すること自体、大変な勇気が必要なことでしょう。しかし、PTSDを放っておくと、精神疾患を併発するなど重症化する恐れがあります。PTSDは治療開始が早ければ早いほど回復も早くなりますので、思い当たる場合はぜひ当クリニックにご相談下さい。
当院での治療方法
PTSDの治療で一番重要なことは、安全、安心、安眠の確保をし、リラックスできる環境を整えたたうえで時間をかけて自然回復を促すことです。
また、その時間の過ごし方が重要となり、PTSDの症状が強い際には、薬を並行して使うことで、症状を抑えながら治療していきます。