【アスペルガー症候群とはどんな病気?】
発達障害の一種で、生まれ持った脳の特性です。「他者とのコミュニケーションが上手く取れない」「相手の言葉を素直に捉えすぎてしまう」「興味や関心にかたよりがあり、言葉へのこだわりがある」などの様々な特徴があります。また、周囲からは「マイペース」「空気が読めない」と言われてしまい、傷つく体験をされるエピソードもよく聞かれます。現在は、アスペルガー症候群ではなく、自閉スペクトラム症という分類や診断が主流になってきています。
【アスペルガー症候群の原因や特徴は?】
発達障害の一種で、生まれつきの脳機能のかたよりが影響しており、大きく分けると以下の3つの特性があります。この3つの特性の影響で『会話のすれ違い』や『強いこだわり』、『非常識なふるまい』などが行動や考え方のくせとして現れることがあります。また、言葉の遅れや知的な遅れは診断基準にありませんが、併存して見られることがあります。
*アスペルガー症候群の3つの特性
- コミュニケーションの特性
・話の内容や相手の気持ちを理解するのが苦手なため、会話がすれ違いやすい
- 想像力の特性
・こだわりが強く、予定変更や例外を嫌がる
・好きなことには優れた集中力を発揮できる
- 社会性の特性
・人と同じように行動することや人の気持ちに配慮することが苦手
・自由な発想ができる一方で、社会常識やマナーがわからない
心療内科でのアスペルガー症候群の治療
アスペルガー症候群は発達障害ですが、一般的にいう病気とは少し異なり、特性や個性に近い状態なので医学的な治療法で治す病気とは異なります。
しかし、アスペルガー症候群の人は常に生きづらさを感じており、日々の生活の中で多くの困難を抱え、ストレスを感じて生活をしています。そのため、周囲の理解や支援が不足すると二次的にこころの病気として精神疾患が生じることがあります。精神疾患症状が現れたら、薬物療法や精神療法などで改善させていきます。
以下が二次障害や併存して現れる精神疾患症状の例です
・うつ
気分の落ち込み、仕事や趣味に興味がわかない、突然泣き出す、考えがまとまらない、自分を強く責める、悲観的に考える、不眠、倦怠感、食欲不振、頭痛、めまいなど
・パニック障害
突然、理由なく激しい発作に襲われるのをきっかけに、また発作が起こるのではないかと不安になり、恐怖を感じたり、息苦しくなることもあります。
・統合失調症
妄想や幻聴が現れ、適切な判断が出来ない、極度の興奮やまとまりのない会話・行動、意欲・気力の低下、引きこもりなどがみられます。
ご来院いただいた後の注意点
アスペルガー症候群は一般的な病気のように医学的に治療するというより、日常生活での困り事を診察の中でお伺いし、二次障害の症状が出ている場合には薬物治療や精神療法を行います。また、ご本人様が生活しやすくなるためにSST(ソーシャルスキルトレーニング)等を行うこともあります。その場合には定期的に診察をしていく必要があります。