「体調を崩して、休職に入ったはいいけど、いざ休んだらどうやって過ごしたらいいんだろう…」このように、休職中何をして過ごしたらいいか悩まれる方が多いかと思われます。特に、「なるべく早く復帰するためには？」「せっかくもらえた休みをどんな風に活用すべきなのか」といったお悩みもよく聞きます。

今回は、“休職中の過ごし方”についてお話しします。

＜休職中の過ごし方＞

復帰をしていくためには、ご自身の状態に合わせた治療や過ごし方が重要です。

もし回復が不十分でないときに無理をしてしまうと、かえって状態が悪化し、回復が遅れる場合もあります。そのため、ご自身の状態がどのような状態なのかを知る必要があります。

うつ症状を発症している場合、多くは、以下の図にあるようなステップを踏んでいきます。

“回復初期”は、うつ状態が強いため、まずは休養と治療に専念しましょう。したがって、無理に何か勉強をするなどの活動は控えることが推奨されます。徐々に回復していくと、“生活安定期”に入ります。起床・就床時間が安定し、適度な活動（家事や運動）ができるようになります。

しかし、生活レベルが安定しても、職場が求める「就労可能レベルの回復」には至っていないことが多いです。そのため、“寛解安定期”“復職準備期”では、ご自身で休職の経緯を振り返ったり、主治医と相談してリワークプログラムを利用したりすることで、復職への準備を進めていきます。

そのため、まずは主治医と相談して、今は自分がどの段階にあたるのかを知りましょう。

休職をすると様々なことで不安になり、焦りも強くなってきます。しかし状態が万全でないまま復職しようとすると、かえって体調を悪化させ、状態を長引かせてしまう恐れがあります。焦る気持ちをぐっとこらえ、まずは医療機関に相談しましょう。

・休職中に旅行に行ってもいい？

休職をされている方から、「旅行に行ってもいいか？」と質問があります。

職場から離れて気分転換がしたい、久しぶりに家族との時間が確保できたから家族と楽しみたい、等の理由もよく聞かれます。

結論から言うと、休職中に旅行に行くのはあまりお勧めできません。

理由としては、

旅行にはエネルギーを要し、休養にならない場合が多いため。
会社にばれた際、トラブルの元になるため。

本来休職とは、症状などにより就労が困難になったため、その症状の回復に専念できるように設けられている制度です。旅行というのは、楽しくても準備や移動、楽しむこと自体にエネルギーを要します。そのため、休養にならず、かえって体調を悪化させる可能性があるのです。

また、ご自身はあまりに辛くて休まれていますが、一方で、会社に残った他の方は、代わりに仕事を担ってくれているでしょう。仕事も増えて、大変な思いをしているかもしれません。治療のためとはいえ、そのような状態で、旅行に行ったことがばれてしまうと、周囲の反感を買い、トラブルになりかねません。休職中は直接やりとりがなくても、復職後に配慮がもらいづらくなったり、その人間関係がストレスになったりすることも考えられます。

休職中は、「まずは休むことに専念すること」「復職・再発防止のために自己理解を進めていくこと」が重要です。旅行に行くのは、復帰されて、安定して働けるようになった時のご褒美にとっておくとよいでしょう。