【身体表現性障害(身体症状症)とは】
“苦痛が強い身体症状”や“日常生活に影響するような身体症状”が見られる場合に診断される精神疾患です。症状が体の一部分で強くあらわれる方や複数の部分であらわれる方もみえます。また、症状があらわれる場所が変わっていくこともあります。
身体の痛みや疲労感、違和感として経験されることがあるため、精神科・心療内科ではなく、内科や整形外科を受診するも身体的な異常が認められず、精神科受診を勧められることで判明する場合もあります。
【身体表現性障害(身体症状症)の主な症状】
上記の通り、身体の痛み、疲労感、違和感、痺れ、吐き気、脱力感など、人によって様々な身体症状が見受けられます。また、検査などで身体的に問題が確認されなかったとしても、「自身の身体症状は医学的に重篤ではないか」と感じて強い不安感に襲われるなど、身体の状態に関する考え方や感情、行動にも変化が見受けられる場合があります。
【当院での身体表現性障害(身体症状症)の治療方法】
疾患の理解が大切になります。現在の不調感が必ずしも身体的な問題から生じているわけではないことを理解し、納得していくことが回復への第一歩になります。精神科・心療内科として下記の治療方法を提案しております。
☆薬物療法
・抗うつ薬/抗不安薬の使用が有効な場合があります。
・SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)という種類に分類される抗うつ薬を使用することが多いです。また、疼痛が強い方には、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という種類に分類される抗うつ薬が有効と言われています。
☆認知行動療法
・ご自身の症状や状況をふり返り、“症状が悪化しているきっかけや状況の整理”や“症状改善に繋がる因子の明確化”を行っていきます。また、“症状に関連する考え方を振り返ること”や“症状に影響を受けている行動を変えていくこと”も有効です。
・症状との付き合い方を治療者と一緒に探していくことになります。
【ご来院いただいた後の注意点】
症状がいきなり改善されるケースは少ないと思われます。回復を焦りすぎることなく、じっくりと治療を進めていくことが大切になります。
【参考文献】
・DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル